札幌異聞 二〇二五年二月五日【異形の影、札幌を覆う――“雪まつりの闇”】

札幌

※注釈※
この記事は、クトゥルフ神話の世界観に基づいた完全な創作フィクションです。
現実の出来事や人物とは一切関係ありません。

【異形の影、札幌を覆う――“雪まつりの闇”】

2025年2月4日、札幌の冬の風物詩「さっぽろ雪まつり」が華々しく開幕した。しかし、その裏側で不可解な事件が相次ぎ、街には不安と恐怖が広がっている。不可思議な現象、目撃証言、そして異常な精神状態に陥る住民たち——この異常事態は、単なる偶然なのか、それとも“何か”が目覚めつつあるのか。

“雪像”が動いた夜

2月3日の深夜、雪まつりの大通会場で、大雪像の一部が突如として崩れ落ちるという事故が発生した。関係者は「氷の強度が予想以上に弱まっていた」と説明したが、事故直前に現場にいた複数の作業員が「何かが動いているのを見た」「雪像がゆっくりと形を変えていた」と証言している。

さらに、ある作業員は「雪像の崩落というより、内部から何かが押し破ったように見えた」と語り、遺跡の発掘調査のように現場を撮影した写真をSNSに投稿。しかし、その写真は数時間後に削除され、本人も音信不通となっている。


異常気象と“軋む音”

4日午後、札幌市内では気温が異常上昇し、各地で雪解けが進んだ。しかし、住民の間では、気温の上昇とともに「地面の下から巨大な軋みの音が聞こえた」という証言が相次いでいる。

「最初は除雪車の音かと思ったが、明らかに違った。重低音のような振動が地面を伝わってきて、まるで何かが地中を動いているようだった」(中央区在住の男性)

「近くのマンホールの隙間から、白い霧のようなものが立ち上っていた。それを見た瞬間、頭の奥がズキズキして、気を失いそうになった」(大通公園近くの女性)

また、札幌市内ではここ数日間、通信障害が頻発。特に夜間になると、スマートフォンやラジオが意味不明なノイズを拾い、「低く囁くような声」が聞こえたと話す者もいる。

発狂する住民と“イタクァの囁き”

この不可解な現象と並行するように、札幌市内では突発的な精神異常に陥る住民が急増している。ある病院の精神科医によると、「夜中に突然、窓の外を見て叫び声をあげた」「雪がこちらを見ていると言って錯乱した」などの症状が確認されている。

さらに、円山公園周辺では、氷の上に裸足で立ち尽くし、「風が呼んでいる」「古き者が目覚める」と呟く人物が数名発見された。警察による保護が試みられたが、彼らは一様に凍ったように硬直し、白目をむいていたという。

市内のオカルト研究家・S氏は、「これは“イタクァ”と呼ばれる旧支配者に関連している可能性がある」と警鐘を鳴らす。クトゥルフ神話におけるイタクァは“風に乗るもの”として知られ、極寒の地に恐怖をもたらす存在とされている。

「イタクァの影響を受けた者は、次第に氷と風に引き寄せられる。彼らは吹雪の中に消え、二度と戻らないと伝えられている。もしかすると、札幌の異常現象もその影響かもしれない」(S氏)

謎の団体“Miskatonic Northern Division”

この騒動の中、市内の一部で「Miskatonic Northern Division(ミスカトニック北方支部)」を名乗る団体の活動が目撃されている。彼らは黒いコートを着込み、街の各所で測定器のようなものを使用していた。

「彼らはただの科学者には見えなかった。なにかを探しているようで、地面に耳を当てたり、雪の塊を掘り返したりしていた。何かとても、普通ではないものを感じた」(すすきののバー店主)

さらに、市内の図書館で「“エイボンの書”の閲覧申請が相次いでいる」という未確認情報もある。この書物は、異次元の存在との接触を記した禁書であり、関係者の間では「札幌に何かが潜んでいるのではないか」との憶測が飛び交っている。


札幌、終焉の予兆か

市内の監視カメラには、奇妙な影が映り込むケースが増えており、一部の映像では、氷の中から巨大な何かが蠢くような光景が確認されている。しかし、それらの映像は直後に消去され、管理者も映像が改ざんされたと主張する。

札幌の地下に眠るものは、単なる雪解けによって目覚めたのだろうか? それとも、人類が触れてはいけない“何か”を呼び覚ましてしまったのか——。

今夜も札幌の夜空には、不自然な風が吹き荒れている。

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