※注釈※
この記事は、クトゥルフ神話の世界観に基づいた完全な創作フィクションです。
現実の出来事や人物とは一切関係ありません。
雪まつり最終日、白銀の祭壇と古の囁き
札幌市中心部で開催されたさっぽろ雪まつりの最終日、来場者たちは奇妙な現象を目撃した。大通2丁目会場に設置されていた「未来の雪のまち」と題された展示が、突如として異様な姿へと変貌したのである。
午後3時頃、会場に集まった人々が空を見上げると、灰色の雲が不自然な動きで渦を巻き、中央にぽっかりと闇が空いた。その直後、氷像の一部が自然に崩れ、雪の中から奇怪な文様が刻まれた黒曜石の柱が露出した。
この柱には、古代シュメール語に酷似した文字が刻まれており、学者によれば「イタカ」「ニャルラトホテプ」といった単語が含まれていたという。音のない囁きが空気を震わせ、観客の中には突然意識を失う者も現れた。
警察はこれを「自然現象と偶然の一致」と説明したが、後に会場で撮影された写真には、雪像の影に蠢く“無数の触手”のようなものが映り込んでいたことが判明した。
55年ぶりの高温、溶けゆく都市と目覚める者たち
2月13日、札幌市では異常な高温を記録し、昼過ぎには気温が**10.1℃**に達した。**だが、気象学者たちはこの温暖化現象の説明に困惑していた。**なぜなら、通常この時期に温暖な南風が吹くことは極めて稀だからである。
また、この日を境に市内各地で不穏な出来事が報告された。特に札幌市南区の地下水脈に異変が生じ、地下から謎の泡立つ液体が噴き出す現象が観測された。この液体は通常の水とは異なり、光に照らすと虹色に輝き、わずかに人の声に似た耳鳴りのような音を発していたという。
さらに、円山公園付近では「巨大な影」が目撃される事件が相次いだ。複数の目撃者が「空間が歪むように何かが蠢いていた」と証言している。これを受け、大学の研究チームは太古の存在「シュブ=ニグラス」の兆候である可能性を指摘した。
「これほどまでの気温の変化は、地球の常識では説明できない。もしかすると、大地そのものが何かを孕んでいるのかもしれない…」と、ある気象学者は語った。
観測史上初の連続高温、異界の門が開く
2月14日、札幌の気温はさらに上昇し、史上初の2日連続で10℃を超える異常気象となった。そしてこの夜、市内各地で奇妙な現象が記録された。
札幌市内の監視カメラに映ったのは、**「人間にはあり得ない関節の動きをする者たち」**であった。彼らは氷の上を滑るように移動し、目撃者の話では「目のない顔をしていた」という。
また、札幌市資料館に所蔵されていた明治時代の古文書が突然燃え上がる事件が発生した。この文書には、「カラフトの先に封じられしモノ」という記述があったとされるが、詳細を確認する前に不可解な火災によって全焼してしまった。
さらに、地下鉄南北線の一部トンネルでは、「壁の中から低い唸り声が聞こえた」と作業員が証言している。
札幌駅再開発計画の遅延と、地下で発見された遺跡
JR北海道は、札幌駅南口の再開発計画を最長2年間延期する可能性があると発表した。その理由として「地下構造の不安定化」を挙げたが、関係者の話によれば、より深刻な問題があるという。
工事中、地下30メートル地点で「人類のものではない遺跡」が発見されたのだ。その壁面には、シュメール文明より古いと推測される象形文字が刻まれており、奇妙な生物の彫刻が確認された。
この遺跡について、北海道大学の考古学者は「これは人間以前の知的生命体が残したものかもしれない」と推測している。しかし、発掘が進むにつれ、工事関係者の間で原因不明の失踪が相次いでおり、現在調査は一時中断されている。
同日、札幌市の一部地域では「夢の中で海の底に沈む都市を見た」と証言する者が急増した。その都市は緑がかった黒い石で作られており、中央に巨大な扉があったという。
研究者の中には、これを「クトゥルフの目覚めの予兆」と見る者もいる。果たして、札幌の地下には何が眠っているのか?
沈黙せよ、さもなくば世界は変わる
札幌市の異変を総括すると、これは単なる異常気象では説明できない。我々が踏み込もうとしているのは、地球の深淵、クトゥルフ神話に記された“忘れ去られた神々”の領域なのかもしれない。
札幌市の地下に封じられしものが何であるのか、それを知る日は来るのだろうか?
ある老科学者は、2月14日の会見でこう語った。
「私たちはまだ、知らなくていいことを知ろうとしているのではないか…?」
——そして、その夜。
札幌の空に、誰も知らぬ言葉で「何か」が囁いた。
コメント