札幌異聞 二〇二五年二月八日【共同住宅での火災、異様な叫び声と「蠢く炎」】

札幌

※注釈※
この記事は、クトゥルフ神話の世界観に基づいた完全な創作フィクションです。
現実の出来事や人物とは一切関係ありません。

2月7日未明、札幌市各地で不可解な事件が相次ぎ、市民の間で動揺が広がっている。共同住宅での火災、北方領土署名活動中の異変、さらには手稲山の旧金山採掘場周辺での目撃情報——これらの出来事には、共通する“異様な存在”が関与しているのではないかと一部の専門家は警鐘を鳴らしている。

【共同住宅での火災、異様な叫び声と「蠢く炎」】

7日午後6時40分ごろ、西区宮の沢の共同住宅で発生した火災。出火当時、住人の70代女性がやけどを負い病院に搬送されたが、搬送時の彼女の言葉が異常だったという。

「炎が……生きている……!」

救急隊員の話では、女性は錯乱しながら同じ言葉を繰り返していたという。さらに、現場近くに住む住人の証言によれば、火災が発生する直前、建物の壁が赤く輝き始め、まるで何かが蠢いているかのように見えたという。

「普通の火じゃなかった。あれは、まるで意思を持っていた。」

消防と警察は、ガス漏れなどの可能性も含めて調査を進めているが、通常の火災とは異なり、燃え方が不自然だったことが報告されている。火の手は急激に広がりながらも、一部の部屋だけを狙うように燃え広がっていたという。

一部のオカルト研究者の間では、この現象が「地の底に潜む何か」によるものではないかと考えられている。「それ」は太古から封じられていた炎の化身であり、呼び覚まされた際には燃え尽きることなくすべてを包み込むと伝えられている。

「この炎が偶然発生したものだとしたら、説明のつかないことが多すぎる。」


【署名活動中に発生した「声にならぬ声」】

2月7日は「北方領土の日」であり、大通公園のさっぽろ雪まつり会場で行われた署名活動には多くの市民が参加していた。しかし、その会場で不可解な現象が発生した。

午後3時頃、署名台に並んでいた数名の参加者が突如として耳を塞ぎ、苦しみ始めた。「聞こえる……! 誰かが……否、“何か”が、ささやいている……!」

その場にいた数名の証言によると、突如として空気が異様に重くなり、周囲が微かに振動し始めたという。その直後、署名台の近くに設置されていた雪像の一つが、まるで内側から何かが押し出そうとしているかのように歪み始めた。

「雪像が……雪像の中に“何か”がいる……!」

異変は数分で収まり、歪んだ雪像は自然崩壊した。しかし、その雪の破片の中からは、何者かが書き残したと思われる古代文字のようなものが刻まれた石片が発見された。専門家の解析によると、これは“エイボンの書”に記されている古代の呪詛に類似したものであり、何者かが“封印”を破ろうとした形跡があるという。


【手稲金山で目撃された異形の影】

同日夜、手稲山の旧金山採掘場跡周辺で奇妙な発光現象が観測された。地元住民の証言によると、鉱山跡の洞窟内部から青白い光が漏れ出し、低いうめき声のような音が聞こえたという。

「ただの風の音じゃなかった……あれは、何かが“囁いて”いたんだ。まるでこちらに呼びかけるように。」

さらに、ある登山者の証言によれば、洞窟の奥から「人ではない何か」が這い出てきたのを目撃したという。

「手足が異様に長く、顔がない……まるで粘土細工が動いているような姿だった。」

この目撃情報は、かつて禁断の書物「ネクロノミコン」に記された“無貌のもの”と類似しているとする研究者もいる。“無貌のもの”は、ナイアーラトテップの眷属とされ、見る者の精神を蝕む力を持つとされている。


【謎の組織「銀の鍵の探求者」の動き】

これらの異変に呼応するように、札幌市内では謎の団体「銀の鍵の探求者(Seekers of the Silver Key)」の活動が活発化しているという情報が入った。

この団体は、かつてアルハズレッドの書物に記された禁断の知識を探求し、異界の門を開こうとしているとされるオカルト結社である。ある関係者によると、札幌市内のいくつかの地下施設で、密かに「門」を開く儀式が行われている可能性があるという。

専門家の一人は警告する。

「今、札幌で起きているのは単なる超常現象ではない。何者かが、次元の狭間をこじ開けようとしているのだ……。」

果たして、これらの異変は偶然の産物なのか、それとも札幌の地下深くに封じられた“何か”が目覚めつつあるのか——。

続報が待たれる。

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