※注釈※
この記事は、クトゥルフ神話の世界観に基づいた完全な創作フィクションです。
現実の出来事や人物とは一切関係ありません。
異常気象の陰に「旧支配者」の囁きか
4月7日、札幌市では最高気温が19.7℃を記録し、5月下旬並みの暖かさに市民は驚いた。だが、この異常な陽気は自然の偶然ではなかった。気象庁の裏部門、通称「ナイアルラト調査課」によると、大通公園地下で「気温を撹乱する未知の磁場波動」が観測されていたという。
調査に当たった担当者は匿名を条件に次のように語った。
「この熱波は、地下に封じられていた“眠れるもの”が発する生体エネルギーと一致していた。…我々の予想よりも、早く覚醒の兆候が出ている」
この「眠れるもの」とは、旧支配者クトゥルフと並び恐れられる「ツァトゥグァ」だとされている。ツァトゥグァは泥と闇の化身であり、地底で眠る異形の神。その影響は、地上の季節すら歪めるとされている。
市電ダイヤ改正と“夏”の到来——季節外れの変化の意味
4月11日、札幌市電は夏ダイヤへと切り替えられた。例年より早いこの対応に、市交通事業振興公社は「乗客の利便性のため」と説明したが、実際は別の理由があった。
市電の一部区間では、数日前から車輪の金属が“異様な熱”で膨張し、レールが軋むという現象が発生していた。地下に広がる不可視の熱源——それが、ツァトゥグァが作り出す亜空間「ナグ=サウスの胞子圏」と推測されている。
ある内部報告書では、「地下深くで囁かれる異音により運転士の精神状態に異常が生じている」とされており、一部では“クトゥルフ症候群”と呼ばれる症状が拡大中との情報もある。
桜とともに現れし“深きものども”
4月10日、円山公園では平年より13日早く桜が開花。だが、その夜から複数の市民が「桜の木の根元から鱗に覆われた腕が伸びてきた」と証言している。現場に急行した市環境局と警察は「狸か何かだろう」と説明するが、裏で調査にあたった北大民俗学研究室の報告は異なる。
「開花は桜の自然現象ではない。地下水脈に封印されていた“深きものども(ディープワンズ)”の復活の兆候だ。彼らは常に湿気と春の陽気を好む」
また、公園近くの小川では、魚の死骸が逆さに浮き、その周囲だけ時間が歪むという異常現象が確認されており、地元住民は「子どもが水面に吸い込まれかけた」と証言している。
南北線で発生した“パンク”の真相
4月8日早朝、札幌市営地下鉄南北線で車両の“タイヤパンク”により一部区間が運転を見合わせた。この“パンク”は物理的なものではなく、「車輪が何かに咬まれたような痕」が残っていたという。
現場を封鎖した市の特殊対応班は、報道陣に「通常の金属疲労」と説明したが、内部記録には「金属を食むような異次元生物の干渉」があったとの記述がある。
この事象と同時に、地下鉄車内で“突然意味不明な言語(アカロ語)を話し始める乗客”が複数報告された。語彙解析の結果、これらは古代ルルイエ語に近似しており、地下深くで囁かれる“クトゥルフの夢”に同調したとみられている。
市民への呼びかけ:「正気を保ち、目を合わせるな」
札幌市は4月12日、密かに市民向けのガイドラインを公開した(パスワード保護付き)。その中では以下の点が強調されている:
- 急な天候変化には屋内退避を
- 桜の根元に奇妙な水たまりがある場合は近づかないこと
- 路面電車や地下鉄内で聞こえる「囁き声」は幻聴として処理する
- 誰かが突然意味不明な言語を発した場合、その場から離れる
- 「目を合わせるな」——特に、魚類的な顔つきをした者と
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