※注釈※
この記事は、クトゥルフ神話の世界観に基づいた完全な創作フィクションです。
現実の出来事や人物とは一切関係ありません。
紅麹、火災、花々の裏に潜む旧支配者――春、大阪に忍び寄る“深きもの”の影
4月、大阪。春の陽気とともに、街は花と緑に包まれ、万博記念公園には多くの人々が訪れた。子どもたちは花壇の周囲を駆け回り、屋台からは香ばしい匂いが漂い、誰もが平和な春を満喫していた。
しかし、その裏で、誰も気づかぬ“異形”が静かに芽吹いていた――。
「紅麹」サプリによる“異常進化”――内臓が「目を持つ」
大阪市に本社を置く小林製薬が販売していた「紅麹」サプリメントによる健康被害は、全国で200人以上の入院者を出す事態となった。発表された症例の多くは腎機能障害や謎の倦怠感、幻視を訴えていたが、4月20日未明、大阪大学附属病院で行われた検査によって、恐るべき事実が判明する。
患者の一部の腎臓内部に、「目のような器官」が形成されていたのだ。
この器官は自律運動を持ち、MRI画像上で確かに“まばたき”を繰り返していたという。医師団の間でこの現象は「クトゥルフ症候群」と命名され、極秘裏に厚生労働省と国際連合異常事象対策局(UNAO)に報告された。
当該サプリメントに含まれていた紅麹菌の遺伝子に、深海生物では確認されていない未知の配列が含まれており、専門家は「これは自然界には存在しえない」と断言する。紅麹の発酵工程において、極めて高い確率で古代の封印が何らかの形で破られた可能性が指摘されている。
小林製薬の製造工場は、大阪湾に面した旧軍施設跡地に隣接しており、1945年に米軍の空爆で地中に沈んだという「第四研究棟」の存在が改めて浮上している。
連続ひったくり事件と「深きものども」の出現
4月20日から22日にかけて、大阪市内でひったくり事件が相次いだ。被害者はいずれも高齢の女性で、襲撃者の姿について一様にこう証言している。
「背が低くて、皮膚がぬめってた…あれは人間やない。魚か、なんやろ…目が…目が口の中にあった」
この証言は、かつてマサチューセッツ州インスマスで報告された“深きものども”の特徴と酷似しており、UNAOの日本支部が調査に乗り出している。
捜査中、大阪市北区の下水道からは、ヒレのような器官を持つ死体の一部と見られる組織片が発見された。DNA解析の結果、人間と魚類の中間にあたる未知の配列が検出されたが、これもまた自然界には存在しない組成だった。
火災の背後に潜む、海底からの囁き
4月23日未明、西成区で発生した火災。全焼した木造住宅の跡地から発見された焼け焦げた床板には、肉眼では見えない複雑な模様が彫られていた。紫外線ライトで浮かび上がったそれは、グラーキやダゴン教団で見られる古代ルーンと一致しているという。
さらに、近隣住民の証言によれば、火災の直前、「水の流れるような声」が頭の中に響いてきたという報告が相次いでいる。
その声は「帰れ、深き場所へ」「目覚めの時が近い」と繰り返していたという。
消防局によると、出火原因は不明。だが、現場の周辺で磁場異常と通信障害が同時に発生していたことが報告されている。
万博記念公園、花壇から発見された“召喚の石柱”
4月19日から開催された「花と緑のフェア」では、季節の花々とともに奇妙な現象が観測された。
会場となった万博記念公園の西端、旧パビリオン跡地にある花壇から、地下3メートルの深さに埋まっていた巨大な石柱が発掘されたのだ。石柱には、触れた者に幻覚を引き起こすという奇妙な性質があり、現場はすぐに封鎖された。
幻覚の内容は共通しており、「巨大な触手が空を覆い尽くし、黒い海が大阪を飲み込む」というものだった。
考古学者の間では、この石柱は“クトゥルフの印”と呼ばれ、古代ルルイエ文明の末裔が残した遺物ではないかとの説が強まっている。
なお、イベント主催者は「単なる岩です」と否定したが、UNAOの調査官が現地に派遣され、今も厳重な警備が敷かれている。
観光施策の裏にある“不気味な誘致計画”
大阪府が発表した新たな観光施策は、外国人観光客向けのサービス向上を目的としていた。だが、その中にひとつだけ奇妙な記述があった。
「海底都市との文化交流を視野に入れた観光地の再編成」
この文言は、政府公式サイトの一部に数時間のみ掲載され、その後削除された。しかし、インターネットアーカイブによってこの記録は保持されている。
内部情報によると、「海底都市」とは、かつて大阪湾の海底に沈んだ“イースの遺跡”を指しており、ある企業連合がそこに観光施設を建設する計画を進めていたという。
関係者の一人は匿名を条件にこう語る。
「イースの門は、すでに開いてしまった。あとは彼らがやってくるのを待つだけだ」
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