札幌異聞 二〇二五年五月三日【南北線運休の裏に潜む異形の気配】

札幌

※注釈※
この記事は、クトゥルフ神話の世界観に基づいた完全な創作フィクションです。
現実の出来事や人物とは一切関係ありません。

地下鉄に走った「黒い囁き」──南北線運休の裏に潜む異形の気配

4月22日、札幌市営地下鉄南北線が突然の車両故障で運休となった。公式発表では「タイヤのパンク」とされたが、非公開の内部資料によれば、現場では不可解な“粘着性の黒い液体”が車体下部から滴っていたという。

複数の作業員がこの液体に触れた後、幻覚や聴覚異常を訴え、精神病棟へ搬送された。彼らは口々に「地の底から囁く声が聞こえる」「黒い眼を持つ何かが這い寄ってきた」と語った。

のちに現場付近の地中調査で、謎の「空洞」が発見された。直径2.4メートル、深さ不明。その壁面には、古代ポリネシア文明に類似した文様が刻まれていたが、国立考古学研究所の調査は「安全上の理由」で中断されたままである。


北海道新幹線札幌延伸延期──“封印”されたルートと時の歪み

5月に入ってから報じられた、北海道新幹線札幌延伸の開業延期。国土交通省が公開した公式文書には「技術的・地質的な問題による難航」とあるが、実際にはトンネル掘削中に“構造的に存在しないはずの空間”が発見されたことが大きく影響していた。

その空間では、電子機器の作動が不安定になり、時には「時計が逆回転する」「掘削機が24分間消失して再出現する」などの異常現象が観測された。現場の作業員の中には、作業日誌に以下のような記述を残している者もいる。

「深淵の中で我々を待っていたのは、石の像ではない。這いずる神の気配だった。」

現在、このトンネルは“旧ルート”として封鎖され、新たに別経路が模索されているというが、情報は極端に制限されている。


桜の早咲きと古神復活の兆し──植物学者が語る「桜の異常生育」

4月24日、札幌市で記録的に早い桜の満開が確認された。多くの市民は春の訪れを喜んだが、北海道大学植物学研究室の南條教授は、満開を異常現象として次のように語った。

「ソメイヨシノの開花に関わるホルモン値に、未知の波形パターンが混じっていた。通常の環境では説明がつかない。」

調査を進めた結果、札幌市内にある6か所の桜並木で、樹木の根元に「魚類の骨と思われる破片」と「粘土製の偶像」が埋められていたことが判明。その偶像の形状は、南太平洋に伝わる“深きもの”の神格「ダゴン」に酷似していた。

高速道路の渋滞予測に現れた“動かぬ影”

ゴールデンウィーク中、札幌近郊の高速道路で最大5キロの渋滞が予測されたが、その予測地点の一つ、道央道江別東付近では「霧が突然発生し、複数の車が進行不能になった」との報告がある。

その霧は、気象庁の観測にも記録されておらず、映像記録には“人影とも獣影ともつかぬ”存在が数秒映り込んでいた。防犯カメラのフレーム間で確認されたその影は、2.5メートルを超える高さで、複数の触腕を有していた。

また、交通量をモニタリングしていたAIシステム「EYE-S3」は、その影の出現以降、異常な解析誤差を起こし、「ル=ルルイエ」「クトゥルフ」「星の落ちる日」などの意味不明な単語をログに記録していたという。


北海道知事と札幌市長の“共同声明”──沈黙の中で語られた恐怖

5月14日、北海道知事と札幌市長は、国土交通省への早期開業要望書の提出に際し、非公開の記者会見を開催した。この会見に出席した報道関係者のうち、4名が後に“記憶の一部欠損”を訴え、病院に搬送されている。

匿名を条件に会見内容を語ったある記者はこう証言する。

「彼らの言葉はまるで、何かに書かされたようだった。札幌の地下には、“まだ名も知られぬもの”がいると。開業の延期ではなく、封印の継続──それが本当の目的なのではないかと感じた。」

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