名古屋神報 二〇二五・〇二・〇五【銀の饗宴がもたらした狂気と恐怖】

名古屋

※注釈※
この記事は、クトゥルフ神話の世界観に基づいた完全な創作フィクションです。
現実の出来事や人物とは一切関係ありません。

深淵よりの囁き――銀の饗宴がもたらした狂気と恐怖

昨日、愛知県一宮市で発生した大規模食中毒事件は、ただの衛生管理ミスではない可能性が浮上している。事件の発端は、同市にある「尾張シルバー給食」が製造した弁当を摂取した幼稚園児や職員ら511人が、下痢や嘔吐を訴えたことに始まる。調査の結果、ノロウイルスが検出され、市は同施設を営業禁止処分とした。しかし、その後の報道で明らかになった「異変」により、この事件は想像を絶する深淵へと転じていった。

「異形のものを見た」園児たちの証言

感染した園児のうち、少なくとも十数人が異様な言動を繰り返していることが判明した。彼らは病院に搬送される道中、または治療の最中に「暗い海の底で、何かが目を覚ました」と呟き、突如発狂。中には舌を噛みちぎろうとした園児もおり、医療スタッフを震撼させた。

ある保護者は、記者の取材に対し次のように語った。

「うちの子は、お弁当を食べた後からずっと様子がおかしいんです。夜になると、目を閉じているのに『そこにいる』と指さして、震えて……。昨日なんて、『銀色の触手が』とか、『名前を呼ばれた』とか言い出して……」

彼女の目は血走り、今にも錯乱しそうな様子だった。さらに、感染者の一部は「言語化できない音」を発しながら、手足を異様な角度に折り曲げるという奇怪な行動を取るようになったという。医師たちは「集団ヒステリーの可能性」を示唆しているが、全ての患者が同じ「異形の存在」を目撃したかのような言動をとる点について、医学的な説明はついていない。

銀色の饗宴、そして謎の食材

尾張シルバー給食の従業員は事情聴取に対し、「問題の弁当には特別な食材は使っていない」と証言したが、一部の調理員が「銀色に光る食材を使用した」という証言を残している。ある調理員はこう述べた。

「発注リストにはなかったが、倉庫の隅に銀色の海藻のようなものが置いてあった。納品業者の記録にもない。だが、上司が『これは特別なものだ』と言って、調理に使うよう指示した」

この証言はすぐに削除され、当該従業員は「虚偽の証言をした」として解雇された。しかし、彼の知人によれば、解雇後も「銀の饗宴が始まる」と呟き続け、3時間後に行方不明になったという。

「銀の暁」――不気味な団体の影

今回の事件に関連し、一宮市内に拠点を持つカルト集団「銀の暁(シルバー・ドーン)」の関与が疑われている。同団体は、名状しがたき「海の古き者」に仕えるとされる秘密結社であり、過去にも行方不明者の事件に関与していると囁かれていた。

あるオカルト研究家によると、「銀の暁」は深海の神々――特にクトゥルフ信仰に傾倒しており、「海よりもたらされた銀の食材」を用いた儀式を行っていた可能性が高いという。

「彼らの教義では、神の血肉は銀色の輝きを持ち、食することで神と一体化できるとされる。もし今回の弁当がその一環だったとすれば、感染者たちが見たものは単なる幻覚ではないかもしれない」

警察はこの団体との関係を慎重に調査しているが、公式発表では「現時点では無関係」としている。しかし、記者が団体の本拠地を訪れた際、廃墟のような建物の前で一人の老婆が「これは贄だ」とつぶやいていたことを付け加えておく。

続報――「海に還った者たち」

本日未明、一宮市の河川敷で数名の感染者が失踪したとの通報が相次いだ。現場には靴や衣服が散乱し、近くには海水のような匂いが漂っていたという。警察は捜索を開始したが、ある警官はこう呟いた。

「これは……潮の満ち引きとは関係ない。まるで、何かがここから這い出たみたいだ」

さらに、目撃者の証言によれば、失踪者たちは最後に「海が呼んでいる」と言い残し、狂気に満ちた笑い声をあげながら川の中へと消えていったという。

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