福岡異刊 2025/05/03【博多駅に現れた裂け目 ―「降り立った者たち」】

福岡

※注釈※
この記事は、クトゥルフ神話の世界観に基づいた完全な創作フィクションです。
現実の出来事や人物とは一切関係ありません。

博多駅に現れた裂け目 ―「降り立った者たち」

4月27日、JR博多駅に集まった人々の中で、妙な証言が相次いだ。

「構内の空気が粘つくようだった」「誰かに後ろから見られている気がした」「床の模様が一瞬動いた気がする」――。

最初は精神的な疲労や混雑のせいだと思われたが、午前10時35分、博多駅の東口広場で“ひび割れ”が確認された。構造的には問題のない平面アスファルトに、深さの分からない漆黒の裂け目が出現。警備員が即座に立入禁止措置をとったが、その場にいた数名の目撃者が「裂け目から何かが這い上がってきた」と訴えた。

その“何か”の詳細は不明。ただ一人、駅前でストリートスケッチをしていた青年(22)が、のちに以下のように証言している。

「巨大な目が見えました。触手のようなものに覆われて、何かを探すように……。名前は知らないけれど、あれは人間ではありません」

この証言は、クトゥルフ神話において門の守り手“ヨグ=ソトース”の使いともされる存在、「ヴォーグール=オルム」の描写と一致している。


舞鶴公園の餃子フェスで「異音」騒動 ― 謎の祈祷と“発酵”の儀式

「クラフト餃子フェス FUKUOKA」が開催された舞鶴公園三ノ丸広場では、初日の夜から異常が発生した。

一部の出店者が、餃子に通常ではあり得ない“発酵過程”を用いたと証言。中には「風味が異様に金属的」「食べた後、幻聴が聞こえた」と語る客も複数確認された。

さらに、4月29日夜にはステージ後方から、聞き取れない祈祷のような音声が響いたとされる。音源は不明だが、録音された音声は、既知の言語に該当せず、国立言語研究所の協力で分析した結果、**「ルルイエ語に酷似」**との報告が出された。

「ルルイエ語」は、海底都市ルルイエに封印されしクトゥルフとその眷属が用いる言語とされ、発音するだけで精神に異常をきたす可能性がある。フェススタッフの一人は「確かに一晩だけ、餃子の形が変わっていた」と語った。確認されている中には、意図せず五芒星逆三角形の瞳を模した形状のものもある。


鹿児島睦展に影を落とす“植物信仰”と偶像群

福岡県立美術館で4月24日から開催されている「鹿児島睦 まいにち」展でも異常が見られた。

展示されている陶芸作品の一部が、深夜の監視カメラにて「微かに動いている」ように見えるとされ、5月1日の夜には警備員の一人が突然錯乱状態に陥った。

「花が……こちらを見ていた……根が、蠢いて……何かを召喚しようとしていた」

その警備員は現在も意識混濁状態で、病室で不規則に「シブ=ニグラス……豊穣の黒き子……」と呟いているという。

シブ=ニグラスは旧支配者の一柱で、繁殖と変異の象徴たる存在。展覧会のテーマ「日々の暮らしに寄り添う植物」が、奇妙な偶像崇拝の様相を帯びてきている。


映画「家出レスラー」に潜む“古き血脈”の記憶

5月2日に博多駅前で行われた映画『家出レスラー』のトークイベントでは、プロレスユニットのパフォーマンス中、観客の一部が「記憶の断絶」や「視界にノイズが走る」といった症状を訴えた。

イベントで使われたマイクの音声周波数が一時的に「人間の可聴域を逸脱する周波数」を発した記録が残っている。音響技術者は「その周波数は一度だけ発せられ、構造的にスピーカーから出せるはずがない」と証言。

映画の脚本に関わった人物の一人が、実は太平洋戦争期に南洋で消息を絶った「南方調査団」の末裔であったことも、後に判明した。南方調査団はラヴクラフトが記した“深きものども”に類似する存在と接触していたという都市伝説があり、これが作品に何らかの影響を及ぼしていた可能性がある。

コメント

タイトルとURLをコピーしました