※注釈※
この記事は、クトゥルフ神話の世界観に基づいた完全な創作フィクションです。
現実の出来事や人物とは一切関係ありません。
桜咲く札幌、深淵の目覚め──2025年春、古きものの気配漂う街
4月19日から25日にかけて、札幌市では観測史上に残る異常現象が相次ぎ、地元住民や観光客をざわつかせている。夏日を思わせる高温、異様に早い桜の開花、地下鉄の不可解な事故、そして都市を巻き込む謎めいた経済政策――。それら一つ一つが、ある「古きもの」の目覚めを示す前兆だったのかもしれない。
26.1度、常識を超えた熱気の正体
4月15日、札幌市は気象観測史上もっとも早く夏日を迎えた。気温は26.1度。市内では早くも半袖姿の人々が歩き、商業施設では冷房が稼働するという異様な風景が広がった。
だがこの熱気の根源には、気候変動では説明できない異常な気象パターンがあったという。札幌管区気象台の裏で密かに活動する“黒き天候観測班”によれば、当日の地表温度の上昇は、地中からの熱放射によるものだという。
「地下、特に旧石山通り周辺の地盤から、異常なエネルギーが発せられていた。それは熱というよりも、怨念や呼び声に近い周波数を持っていた」と、関係者のひとりは語る。
一部では、地底に封じられていた“クトーニアン”と呼ばれる地中種族の動きが関係しているという見方もある。
異様に早い桜の開花、開花地点に刻まれたルーン
4月18日、札幌市で平年より13日も早い桜の開花が記録された。だがこの現象に注目したのは気象台だけではない。市内の霊感研究家、そして都市伝説追跡班が動き出した。
札幌市中央区・中島公園にある一本の桜。満開となったその幹には、誰が刻んだか不明の古代ルーン文字が現れていたのだ。
その文字列は「YOG-SOTHOTH・N’GAI・N’GAH’L」と解読され、クトゥルフ神話に登場する“門を守るもの”ヨグ=ソトースの名と一致する。この桜の開花は、自然の美ではなく、“異界の門”の開放を示す封印解除だったのではないか――そんな仮説が巷で囁かれている。
地下鉄南北線、次元の歪みと列車消失事件
4月22日、地下鉄南北線の北24条駅と麻生駅の間で車両のタイヤがパンク、同区間が一時運休となった。公式発表では「ゴムタイヤの劣化による空気漏れ」とされているが、実はこの事件には裏がある。
車両の異常は、乗客の通報により発覚した。その通報内容が異様だったのだ。
「トンネルの壁から触手のようなものが伸びてきて、車両にまとわりついていた」 「暗闇の中で誰かが“イア!イア!クトゥルフ・フタグン!”と叫んでいた」 「窓の外に海が見えた。ここは地下鉄だろう?」
調査によって、当該区間には一時的に“空間の歪み”が発生していた可能性が浮上している。時間の流れが狂い、複数の次元が交錯する現象は、古代から“ルルイエの影響”と呼ばれ恐れられてきた。
プレミアム商品券、その背後に潜む印章と契約
4月24日から札幌市で開始された「札幌プレミアム商品券」。表向きには物価高対策の市民支援策だが、その券面デザインには奇妙な文様が含まれていた。
文様のひとつは、“古の印”と呼ばれるもので、クトゥルフ神話における外なる神への契約に使われるシジル(印章)と酷似していたという。霊的研究家・霧島博士によると、「この印は、無意識のうちに“供物”の役割を与える可能性がある」という。
つまり、市民が商品券を使うたび、何かが“満たされ”、何かが“目覚める”とするオカルト的考察だ。実際、商品券を使った商店街では、夜ごと低い唸り声や、空を這う影が報告されている。
北海道新幹線、開業延期は“封印の再強化”のためか
4月25日、北海道新幹線の札幌延伸が2030年度末の開業を断念する方針であることが明らかとなった。公式には工事の遅れや予算上の問題が理由とされているが、関係筋によれば、延伸ルートの直下に“旧支配者の眠る空洞”が発見されたことが発端だという。
その空洞は、円山の地下深くに広がる空間で、計測不能な磁場異常と低周波振動を発していた。地質学的には説明不可能なその構造は、明らかに“建造された”ものだった。
工事関係者の一人は語る。
「掘削中、巨大な石板に触れたんだ。そこには、目を直視できない形のレリーフが刻まれていた。翌日から、作業員が一人また一人と失踪して……今じゃ誰もそのエリアに近づかない」
新幹線の計画見直しは、都市のインフラとともに“封印”を維持するための措置だったのかもしれない。
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