札幌異聞 二〇二五年四月五日【“異常高温”観測 大地の下に蠢く旧きものの目覚めか】

札幌

※注釈※
この記事は、クトゥルフ神話の世界観に基づいた完全な創作フィクションです。
現実の出来事や人物とは一切関係ありません。

札幌で“異常高温”観測 大地の下に蠢く旧きものの目覚めか

札幌市では、観測史上最も早い夏日となる26.1度を記録し、例年にない気温上昇に市民の間で混乱と不安が広がっている。だが、この異常気象の裏には、単なる気圧配置の変化では説明のつかない、より深淵なる“何か”が関わっているという報告が相次いでいる。

市内の気象庁職員は「春先のフェーン現象の影響が考えられる」と公式に説明しているが、同日未明から札幌市内各地で報告された“地中からの低いうなり声”や、“空に一瞬浮かび上がった巨大な影”といった奇妙な現象は、気象現象の枠を超えている。


地鳴りと共に現れた“ルルイエのささやき”

4月14日の夜、札幌市中央区の円山公園付近に住む市民から「地面が微かに震え続け、眠れなかった」という通報が相次いだ。また、一部の住民は「地下から複数の声が聞こえるような錯覚」に襲われたと証言している。声は異様に低く、言語ではない“何か”であったが、不思議と心の中で意味が分かってしまったという者もいる。

その内容は以下のようなものだった。

「眠れるものは目覚めの時を知る。星が正しく配置される時、深淵の門は開かれる。」

このささやきに心を奪われた若者が円山の麓で奇妙な円形陣を描いている姿が複数の目撃者により確認され、現在警察が保護しているという。


“影”の出現と空の歪み

さらに15日午前11時頃、中央区のオフィスビル群に囲まれた一角で、一瞬だけ空に“歪み”が出現したという報告もある。目撃者の1人である会社員の佐藤誠さん(43)はこう語る。

「空の一部が滲んでいるように見えたんです。その中心に、まるでタコのような触手と無数の目を持つシルエットが浮かび上がりました。ほんの数秒で消えましたが、頭の中にその像が焼き付いて離れません……。」

この現象の直後、佐藤さんを含む周囲の12人が集団で“意味不明の言語”を口走る症状を示し、市立病院に搬送された。いずれも意識は戻っているが、自らが何を語ったかの記憶はない。


北大考古学研究所、極秘に“地下空洞”の調査

北海道大学の考古学研究所は、札幌市の地下を走る古い地層に異常な空洞が広がっているとの調査結果を内密に発表していたことが関係者の証言により明らかになった。地下30mの地点に、自然のものとは思えない“螺旋状の構造物”が存在しているという。

ある研究員は匿名を条件にこう語った。

「これは……かつての人類以前の文明によるものではないかと考えています。構造は有機的で、壁面には今までに見たことのない文字や図像が刻まれている。しかも、その多くが19世紀のアーカム大学の資料にある“ルルイエ文字”と一致するのです。」

また、調査隊のうち1名が突如として錯乱状態に陥り、不可解な詩文を絶叫し続けたという。

「クトゥルフは夢見る、ルルイエにて、深き眠りにあり!」

この出来事の後、研究所は現地調査を中止し、関係する資料を全て封印した。


市民の間に広がる“終末論”

気温の異常上昇、空の歪み、そして地下からの呻き――これらの現象により、札幌市内では「この地が旧き神々の封印された地なのではないか」という噂が急速に広まっている。SNSでは#ルルイエ札幌、#クトゥルフの目覚めといったタグがトレンド入りし、オカルト系YouTuberたちも連日札幌入りしている。

市内の神社では“封印解除の儀式を止めるための祈祷”が行われ、また一部の宗教団体は大通公園で終末への備えを説く集会を開くなど、市民の間には奇妙な熱狂と恐怖が入り混じった空気が漂っている。


専門家「気象では説明できない、だが語れない」

東京大学の非公式研究会「深淵学研究室」によれば、今回の現象は「従来の物理法則や気象学では説明できない因子が介在している」可能性があるという。だがその“因子”については詳細を明かさず、「語れば、こちら側の世界に影響が及ぶ」とのみ答えた。

このコメントがさらなる憶測を呼び、「札幌の下に封印された旧き神クトゥルフが目覚め始めている」という“新しい神話”が、市民の間に確実に浸透しつつある。

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